今回でメディネトハブの紹介も最終回です。
「ラムセス3世」という王様について紹介したいと思います。ラムセス2世(在位BC1302-1212)は有名なのでご存知の方も多いかと思いますが、ラムセス3世(在位BC1186-1156)とは関係はありません。
(在位期間は資料により変わります)
ラムセス3世はラムセス2世に憧れており、ラムセス2世が建てた葬祭殿に似せて自分の葬祭殿を作り、息子達にはラムセス2世の息子達と同じ名前を付けるくらいでした。
そして日本ではエジプトというとギザのピラミッドや大スフィンクス、ツタンカーメンやクレオパトラなどが思い浮かぶと思います。ラムセス3世の名前が出てくる方は、エジプトが好きな方かと思います。
ですが、ラムセス3世の時代には考古学的な資料が残る、さまざまな事件が発生しており、とても興味深い時代なのです。
世界最古のストライキがあった!
ルクソール西岸には「デル・エル・メディーナ」と呼ばれる墓や葬祭殿、埋葬品を作る専門集団(職人)が暮らす町がありました。現在はその町の一部を観光することが出来ます。
専門家達(職人)は王様から給料(金銭はまだなく物資による配給)を貰っていましたが、ある日その支払いが滞り、専門家達は「給料がないなら、もう働かないぞ」とストを起こしました。
「デル・エル・メディーナ」観光も名鉄観光のエジプト遺跡満喫の旅11日間12日間なら
安心してください、「入ってます」。さらに「ラムセウム」も付いてます。
ストライキの記録は正確に残されています。以下ウィキペディアより引用します。
ラムセスの在位29年目のペレト(播種期)2月の10日に職人たちはストライキに入り、昼間はトトメス3世葬祭殿に座り込み、夜にデル・エル・メディーナに戻った。
翌々日の12日からストライキの場所をラムセウムに変更し、その日のうちに先月分の食糧が配給された。職人たちは当月分の配給も要求してストライキを続行。17日に当月分の食糧が配給されたためストライキはは収まった。その後も在位29年目にもう1度シェムウ(乾季・収穫期)1月の13日、在位31年目に1度(ベレト2月の15日),在位32年目に1度(シェムウ2月の29日)ストライキが発生したとされる。
次は暗殺事件発生!!!!
さらに彼の妻のひとりティイが数名の共犯者と共に自分の息子に王位を継がせるために、王の暗殺事件をひき起こしている記録が公判文書としてパピルスに記されています。ラムセス3世のミイラは博物館に保管されており、そのミイラを調査した結果喉首を横切って深い刃物傷があり、その傷はつ椎骨にまで達していたとのことです。
ラムセス3世は暗殺され、当時の年齢は65歳とされています。
暗殺には成功しましたが、トリノの法パピルスによると、その年の内に暗殺に関与した全員が処刑され、公判の内容を記した別の文書によれば総勢38名に死刑判決が下されたとのこと。
これは紀元前1150年ごろのお話です。
それなのに、ここまではっきりと記録が残されており、裁判が行われ、公判記録がパピルスに記されているなんて、すごくないですか?
葬祭殿には「海の民」との戦いの様子なども残されています。
ラムセス3世については、葬祭殿、王家の谷の墓(現在は非公開)、ミイラ(カイロ考古学博物館ミイラ室展示)と、彼を知ることが出来る場所や物が残されています。
そして
葬祭殿にひときわ深く刻まれているのは、彼の名前等彼の記録になります。
深く刻むことで、誰にも消させないぞ、という意気込みが表れています。
古代エジプトでは、再利用が頻繁に行われており、浅く掘ってある文字や絵は、一度削ると綺麗になるので、その上から別の文字や絵を彫り込みます。
の写真のように深く彫り込むと、それを削り直すことは普通はあきらめるのではないでしょうか。
これはカルトューシュと呼ばれる楕円形の輪(王族の氏名を入れる枠)の中に
「ウセル・マート・ラー・メリ・アメン」というラムセス3世のネスウビト名が刻まれています。ここまで深いと鳥が中に入ったり、巣を作ることもあります。
ラムセス3世にはそこまでは予想出来なかったようです。
ラムセス3世に会いたくなったら、是非エジプトへ!!!
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